これまでの医療では、疾患の症状が現れた後に症状の抑制を目標に治療が行われてきました。このような問題が起きてから対処する後手の方法は、健康を積極的に改善するものではなく、多くの人が高齢期に生活の質の低下や高額の医療費という経済的課題に直面しています。
予測医学特別プロジェクトでは、慢性的な加齢関連疾患のリスクを軽減し、人間の健康寿命を延長し、高齢期においても生活の質を向上させるための、予測に基づく個別化した予防医療の実現を目指して研究に取り組んでいます。そのために、疾患の特徴に基づく層別化、疾患を予測するためのプロセスの形式化、予防医療を実現するプラットフォームの開発を行っています。具体的には、データ駆動型研究と仮説駆動型研究を組み合わせた汎用疾患モデルの開発を行っています。
汎用疾患モデルは、パーソナル・ヘルスデジタルツインに搭載することで予測に基づく予防医療を実現します。パーソナル・ヘルスデジタルツインは、人の健康を個別に監視するものではなく、一人ひとりが自分と似た心身の特徴を持つ他者の経験から学ぶシステムとして運用することが望まれます。このような観点から、サービズデザインについての研究にも取り組んでいます。